JTB・島津製作所・TBSテレビが語る「当事者意識を促す」社内コミュニケーションへの挑戦

5月28日に開催された「インターナルコミュニケーション・デイ2025 Summer」のパネルディスカッションをレポート。ヤプリと宣伝会議が共同で発足した「インターナルコミュニケーション研究会」のメンバー3名がパネリストとして登壇し、「組織に対する当事者意識を促進していくインターナルコミュニケーション」をテーマに、各社の事例を交え話し合った。

写真 人物 インターナルコミュニケーション関連部門の責任者が集まり、議論を深めている「インターナルコミュニケーション研究会」をリードし、本パネルディスカッションではモデレーターを務めたヤプリ アドバイザーの松田恵利子氏。

インターナルコミュニケーション関連部門の責任者が集まり、議論を深めている「インターナルコミュニケーション研究会」をリードし、本パネルディスカッションではモデレーターを務めたヤプリ アドバイザーの松田恵利子氏。

冒頭、モデレーターのヤプリ松田恵利子氏からは、「組織のビジョンや重視する価値観を社内に発信していくにあたり、従業員の所属する部門や世代などによって、その受け止め方に温度差が生じがちである」という課題意識が共有された。働く一人ひとりの当事者意識を促し、行動変容につなげていくコミュニケーションのポイントとして、①インナーとアウターを分けずに取り組む、②コミュニケーション部門だけでなく他部署との連携を促す、③アプリやデジタルを活用し、届きやすい手法を選ぶ、の3つに注目し、JTB、島津製作所、TBSテレビの各パネリストの考えを掘り下げていった。

写真 人物 JTB グループ本社ブランド・マーケティング・広報チーム ブランド担当部長 荒井寛子氏。同グループのリブランディングを推進している。

JTB グループ本社ブランド・マーケティング・広報チーム ブランド担当部長 荒井寛子氏。同グループのリブランディングを推進している。

インナーとアウターを分けずに取り組む

JTBグループは、コロナ禍を機に「交流創造企業」を掲げ、リブランディングを行っている。ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を見直し、社内の共感を得るため、ボトムアップ型のワークショップなどの社内施策に注力してきたが、現在はその取り組みを社外にも広げている。例えば「JTB地球いきいきプロジェクト」では、グループ社員が地域の人たちと一緒になって環境保全活動などを行う。「このプロジェクトでは、各営業拠点が手を挙げ、計画書をつくり、自主的に取り組んでいる。MVVを体現し、社会に貢献できていると実感する機会を創ることが大切」とJTB グループ本社ブランド・マーケティング・広報チーム ブランド担当部長の荒井寛子氏は話す。また社外から交流に関する新しいアイデアを募るコンテスト「JTB交流創造キャンパス」では、審査の過程で従業員による社内投票を取り入れた。「お客様の声に触れることで、社員の心が動いている様子がアンケートの結果からも分かっている」と振り返った。顧客や従業員の家族など、社外のステークホルダーからの反響が、最終的には従業員に好影響を与えている。

写真 人物 島津製作所 コーポレート・コミュニケーション部 部長 榎本晋虎氏。多様な事業を展開する組織において、全社で一体感を持ち同じ方向を向いていくためのインターナルコミュニケーションに取り組んでいる。

島津製作所 コーポレート・コミュニケーション部 部長 榎本晋虎氏。多様な事業を展開する組織において、全社で一体感を持ち同じ方向を向いていくためのインターナルコミュニケーションに取り組んでいる。

他部署との連携を深める

「科学技術で社会に貢献する」を社是とし、計測機器事業をはじめ、4つの事業を展開する島津製作所。「顧客も扱う商品も事業によって異なるため、4つの会社があるような状態に近い。連携を図るためインターナルコミュニケーションでは、多言語化対応したイントラネットなどで情報共有をしているほか、昨今はイベントにも注力している」とコーポレート・コミュニケーション部 部長の榎本晋虎氏。リアルイベント「島津ファン・デー」は、従業員やその家族が会社のファンになってくれることを目指している。同社の従業員が出演したNHKの番組『魔改造の夜』のパブリックビューイングや、工場見学会で子どもたちがデモ体験する機会をつくるなどしたところ「部門を超えたつながりが生まれている」と榎本氏。また150周年の記念事業として、メタバース空間を使ったイベントも実施中だ。6言語に対応する仕組みがあり、言葉の壁をなくし世界中の従業員がアバターとなって会話したり、コンテスト企画を行ったりしている。リアルだけでなくバーチャル空間も活用し、グローバルに従業員同士がつながる機会を生み出した事例だ。

写真 人物 TBSテレビ メディアテクノロジー局 イノベーション推進部 部長 宮崎慶太氏。DX推進を担当しており、「Yappli UNITE」を活用した社内アプリを軸に、インターナルコミュニケーションを実践する。

TBSテレビ メディアテクノロジー局 イノベーション推進部 部長 宮崎慶太氏。DX推進を担当しており、「Yappli UNITE」を活用した社内アプリを軸に、インターナルコミュニケーションを実践する。

アプリやデジタルの活用で一体感を醸成

放送事業以外の収入を伸ばす目標を掲げ、2026年までに300名のプロ人材のキャリア採用を予定しているTBSグループ。「社内の多様性が増すことが確定している。コラボレーションを通じて化学反応を起こすとともに、TBSグループに共通する幹を明確にしていくために、インターナルコミュニケーションの重要性が高まっている」とTBSテレビ メディアテクノロジー局 イノベーション推進部 部長の宮崎慶太氏は話す。アプリやデジタルを使った取り組みも行っている。グループ社員や、社外の番組の制作にかかわるスタッフも見られる「TBSクラウドアプリ」では、社長メッセージ、株価、「世界陸上」開催までのカウントダウン、社員食堂のメニューなど、TBSグループに関するさまざまな情報を展開。「離れた場所、異なる時間帯で働いている人たちが、スマホでいつでも情報を見られるのがアプリの良さ」と宮崎氏。グループ社員をAIマッチングでグループ分けし、社員食堂で食べ放題イベントを開くなど、デジタルの活用も進んでいる。また宮崎氏は、TBSの人気番組『オールスター感謝祭』のリハーサル時間を使って、社内向けイベント「オールTBS感謝祭」を開催。TBSグループのブランディングにかかわるクイズを出し、スタジオやスマホから回答できる仕組みにしたところ、同社ならではのコンテンツに、社内は盛り上がりを見せた。「今後はアプリなどのデジタルデータの取得だけでなく、インターナルコミュニケーション施策としての成果を測っていくことが課題」と語った。

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